
Rendery導入の背景には、どのような課題がありましたか?
中畑様(デザイン部 大阪Gr. グループ長)
もともとパースは昔から作っていました。ただ、初期のアイデア出しや、お客様への提案プロセスはもっと短くしていきたいと考えていました。いろいろなアイデアを出しながら、お客様が本当に求めている方向性を、早い段階で探りたかったんです。
矢野様(デザイン部 人材活躍推進Gr. グループ長)
以前は、お客様からいただいた雰囲気や言葉をもとに、近い参考画像を探して、「こういう感じですかね」とやり取りしていました。ただ、例えば「クール」と言われても、こちらが思う“クール”と、お客様が見ている“クール”が違うことがよくありました。画像のどの部分を指しているのかも分からないため、イメージ写真だけでは完成形を共有しきれない難しさがありました。

その課題に対して、どのように導入を進めたのでしょうか?またRenderyを選ばれた理由を教えてください。
中畑様
最初はトライアルを行い、その後正式導入しました。当初は画像生成AIというより、どちらかというとコミュニケーションボードというUIに魅力を感じて導入しました。矢印を引いたり、文字を入れたりしながら、アイデアを整理していくような使い方です。画像の完成度だけでなく、まずコミュニケーションを前に進めるためのツールとして価値を感じていました。
杉田様(デザイン部 大阪Gr.)
当時は、他の画像生成AIも見ていましたし、3Dモデリングソフトの中にあるAI系の拡張機能も試していました。ただ、雰囲気を合わせることはできても、自分たちが思い描いているイメージに寄せていくには少し違う感覚がありました。Renderyは、3Dモデリングソフトで0から1に立ち上げたボリュームをもとに、雰囲気を整えていける感覚があって、弊社の業務に合っていると感じました。
中畑様
その後、「AIアーキテクトと編集」や部分編集の機能が出てきて、「本当にこういうことをやりたかった」と感じる場面が増えました。できることが増えて、表現もしやすくなって、実務の中でかなり使いやすくなったと思います。
Renderyは、実務の中でどのように活用されているのでしょうか?
中畑様
主な使い方は、コンペ時の提案資料づくり、時間がない時のパース作成、それから海外のグループ会社のメンバーが立ち上げたパースをベースにしたパターン出しや調整です。本当に間に合わない時は、海外メンバーから上がってきたテストパースをRenderyで整えて、一旦お客様にお見せすることもあります。提案の初動を止めずに進められるようになったのは大きいです。

矢野様(デザイン部 名古屋Gr. リーダー)
今は、お客様の間取りに近いスケッチを描いて、それをRenderyにかけて、デザインマトリクスとして複数案を見せる使い方が定着しています。たとえば「ここは会議室」「ここはエントランス」と用途がある程度決まっている場合は、先に近しいボリュームのスケッチを起こして、「この中ならどれが近いですか」と具体的に話せるようにしています。(「参照画像から画像を生成」機能を使用)以前よりも、方向性のすり合わせがかなり早くなったと感じています。
その場での生成だけでなく、事前準備(デザインマトリクスの準備)を重視されているのはなぜでしょうか?
中畑様
もともと、デザインマトリクス自体は社内にありました。ただ、参考画像を集めて運用するやり方では取り扱い面での配慮も必要だったため、お客様にも安心して共有できる形に改めて作り直したいという背景がありました。Renderyを使い、ホワイトボード上にマトリクスを作成することで、社内外でも活用しやすい形で整理・共有できるようになったのは大きな変化でした。

出所:フロンティアコンサルティング様が社内で運用しているデザインマトリクス。この写真をもとに顧客とイメージをすり合わせていく(一部抜粋)
活用を定着させるうえで、どのような工夫をされましたか?
矢野様(デザイン部 名古屋Gr. リーダー)
まず社内用Renderyの運用ルールや活用方法の資料を作成しました。現在80名を超える規模で利用しているので、新卒や中途で入ったメンバーも、「Renderyって何だろう」というところから始まります。どういう場面で使うのか、どの工程に入れると効率がいいのかを分かりやすく整理したかったんです。この資料を用いることで説明がしやすくなりましたし、既存メンバーにとっても、「フロンティアではここで使う」という共通認識を持ちやすくなりました。

出所:フロンティアコンサルティング様のRendery社内運用マニュアル(一部抜粋)
中畑様
機能が多い分、自社の業務の中でどこに当てはめるかを決めることが大事だと思っています。全部に広げようとすると、ノウハウも散らばってしまいます。まずは使う領域を決めて、それをしっかり回していく。そのやり方が、活用を定着させるうえでは合っていたと思います。
導入によって、どのような効果がありましたか?
杉田様
一番大きな変化はスピードです。以前は、お客様から「上席へ提出するため、比較対象として別パターンを至急用意してほしい」といったご依頼をいただくと、画像編集ソフトでの作業に膨大な時間を費やし、他の業務を調整しながら対応するしかありませんでした。
Renderyを使うと、5時間かかっていた加工が5分で終わることもありますし、そこからパターン出しも2〜3分でできます。少し違和感がある箇所を直せば、30分ほどで提出できるレベルまで持っていけるようになりました。
結果としてお客様からは、「このスピード感で対応してくれるならお願いしたい」と感じていただけたと思います。

矢野様(デザイン部 人材活躍推進Gr. グループ長)
別のお客様からは「まさかこの段階でパースが出てくるとは思わなかった」と言っていただいたこともあります。AIに取り組んでいる会社なんだと伝わることも含めて、提案時の印象はかなり変わったと思います。
中畑様
一方で、AIで作ったイメージのクオリティが高い分、お客様が完成形だと受け取ってしまうこともありました。本当は方向性を探るための画像なので、どこまでがイメージ確認で、どこからが設計の詰めなのかは、こちらから丁寧に伝える必要があると感じています。
今後、どのような広がりが期待できるとお考えでしょうか?
矢野様(デザイン部 名古屋Gr. リーダー)
平面図から3Dやパースまでつながっていく世界にも、すごく期待しています。会社が抱えている課題や条件を入れると、それを解決するレイアウト案が出てくるようなところまでいけたら、本当にすごいと思います。そこまで来ると、人が担う役割は、単に絵を作ることではなくて、設計意図や熱量をどう伝えるか、お客様と一緒に空間づくりをどう盛り上げ、構築していくかに変わっていくのではないかと思っています。

これからRenderyの導入を検討される企業へ、メッセージをお願いします
杉田様
まだ使ったことがない方は、「AIが作る画像はどこかおかしいのでは」「色が不自然なのでは」といったイメージを持っているかもしれません。でも、実際はその想像をかなり超えるクオリティで、しかも短時間でアウトプットが出てきます。まずは一度、試してみていただきたいです。
一度使ってみると、自分たちがこれまでどれだけ時間をかけていたのかがすぐに分かると思います。食わず嫌いせずに触ってみると、業務のどこを変えられるかがかなり見えてくると思います。
まとめ
本事例は、Renderyを単なるパース生成ツールとしてではなく、提案初期の方向性決定を速めるためのコミュニケーションボードとして活用している点に大きな特徴があります。抽象的な要望をもとに参考画像を探していた従来の進め方から、スケッチとデザインマトリクスを用いて複数案を提示する進め方へ移行したことで、お客様との認識合わせはより具体的で、よりスピーディーなものになりました。パース作成に5時間かかっていた加工が5分で済むケースが生まれるなど、提案スピードとパターン出しの柔軟性が向上したことは、業務効率化だけでなく、提案力そのものの強化にもつながっているといえるでしょう。
提案初期の認識合わせに時間がかかる、短い納期のなかで複数案を返す必要がある、AIをどこから業務に組み込むべきか悩んでいる。そうした課題を持つ企業にとって、フロンティアコンサルティング様の取り組みは、Renderyを現場に定着させるための具体的なヒントになるはずです。まずは自社に合った使いどころを定め、小さく試しながら運用の型をつくっていくことが、活用を広げる第一歩になるのではないでしょうか。



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