Renderyを導入されたきっかけと、選ばれた理由を教えてください
【小森様(商品企画部)】
最初は別の生成AIを使っていました。ただ、ソフト自体が英語表記のため、プロンプト入力の難易度が高く、社内で広めていくにはハードルがありました。分かりやすいツールはないかと相談したなかで、Renderyを紹介してもらったのが導入のきっかけです。日本語表記・入力がメインである点や、ホワイトボードを複数人で共有しながら画像生成ができる点など、画像生成AIを初めて使う方でも、直観的に使える点が魅力です。
社内展開を考えて、より多くのメンバーに使ってもらえるものを選んだ形です。
活用を社内に広げるために、どのような準備をされたのでしょうか
【布井(SAMURAI ARCHITECTS)】
実際に伴走をさせていただきながら、活用を一緒に考えていくなかで、Renderyに限らず「だいたいこういうことがやりたいよね」という点を洗い出し、それをマニュアルとして社内に共有していく取り組みを進めました。AIの基礎から、目的別ユースケースの整理、実際の作業フローまでを資料に盛り込みました。
特に気をつけたのは、さまざまな事例をどう整理していくかという点です。まずジャンルを決めて、「素材を変更する」「建物の形を変更する」といった用途ごとに仕分け、そのなかで「こういうことをやるよね」という作業を追加していく仕組みにしました。各カテゴリーに名称を設定し、ワークフローに登録する際は、カテゴリー名と実際の作業名をセットで登録しておくことで、後から呼び出しやすい設計にしています。
【塚本様(商品企画部)】
ワークフローの項目は10項目ほどで、その一つひとつにさらに細かい分類があり、布井さんと相談しながら全体で30〜40のテンプレートを用意しています。初めて使う方が最初のとっかかりとして、ワンクリックでワークフローを呼び出すことができるようにしました。
事前にワークフローを用意しておくことには、どんな効果がありましたか?
【塚本様(商品企画部)】
先日、使っているメンバーを集めて社内説明会を開いたのですが、「最初にどういうプロンプトを入力したらいいのか分からない」という声が多かったんです。実際に使うイメージが湧きにくい。その点、ワークフローであらかじめ設定されていれば、ボタン一つ押すだけで使えるので、活用が広がっていきやすいと感じています。会社ごとに、「よく扱う素材」や「変更する部分」があると思います。当社でもそこを把握しながらワークフローとしてマニュアル化していることが特徴です。初めて使う方にとって効果的なプロンプトを簡易に呼び出せるようにすることで、AIに触れるハードルが下がっているのを実感しています。
これまでパースづくりは、どのように行っていたのでしょうか
【小森様(商品企画部)】
導入前は外部に委託してお願いすることが多かったです。
検討初期のファーストイメージを起こす段階では、コストをかけてパース検討はできておらず、スケッチや参考になりそうな物件事例を集めてデザインイメージを検討していました。その後、全体的にデザインが固まってきた段階で外部へ委託し、スタディ用のパースを制作してもらうという流れでした。
集合住宅などの商品企画を行う初期段階では、ボリューム検討やプランチェック、全体の事業スケジュール管理をメインで行います。それと並行してどうデザイン検討を進めるかが最初の課題でした。3Dモデルを1から立ち上げるのは時間を要するため、AIを用いることで計画初期から効率的にデザインスタディを行えるようになり、デザイナーや設計者とのコミュニケーションが取りやすくなることが魅力的でした。そこが導入のきっかけになっています。
導入によって、どのような効果がありましたか
【小森様(商品企画部)】
これまでは1物件に対して数枚しかパースを作れませんでしたが、Renderyを使うことで様々なバリエーションのパースを短時間で作れるようになりました。検討をする際のコストを抑えることに加え、スタディの段階で出せるパースの枚数が増え、短期間で多くの検討ができるようになったことが大きなインパクトです。
画像生成AIは、使える人と使えない人で差が出てしまいがちですが、ワークフローを使うことで、ある程度クオリティが標準化されています。使う人数がそれほど増えていないなかでも、「使える人」は確実に増えてきました。ボタン一つ、ワークフローで出てくるという点があるので、全体の水準が上がってきたと感じています。
まとめ
本事例は、Renderyの導入そのものだけでなく、社内に活用を定着させるためのマニュアルとワークフロー整備に踏み込んでいる点に大きな特徴があります。AIの基礎から目的別の整理、作業フローまでを体系化し、用途ごとにカテゴリー分けされたテンプレートを用意することで、初めて触れるメンバーでもボタン一つで生成に着手できる環境を整えました。
画像生成AIは、扱う人によってアウトプットの質に差が出やすいツールです。コスモスイニシア様は、ワークフローという「型」を用意することで、生成のばらつきを抑え、「使える人」を着実に増やしてきました。外部に委託していたパースづくりを一部内製化し、作成できる枚数を大きく増やせたことも、限られた時間で複数案を検討したいデベロッパーにとって示唆に富む変化といえるでしょう。
AIをどこから業務に組み込むべきか悩んでいる、生成のクオリティを社内で安定させたい――そうした課題を持つ企業にとって、用途を見極めてテンプレート化し、小さく試しながら運用の型をつくっていく同社の取り組みは、具体的なヒントになるはずです。



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